今日の輪・適当ブログ

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舞台『ポーの一族』1/16ライブ配信感想

こんにちは、のわです。


今月16日に舞台『ポーの一族』のライブ配信があったので見てみました。
これは萩尾望都先生の超有名漫画『ポーの一族』が宝塚歌劇団で2018年に舞台化され、それが今年に入って更に外部(宝塚歌劇団以外の舞台の意)の舞台で上演されるというものなので、宝塚版との違いが気になって注目していたんです。

www.umegei.com

【ストーリー紹介】
イギリスの片田舎―森の奥に捨てられた幼い兄妹エドガーとメリーベルは、館に住む老ハンナに拾われ育てられる。老ハンナたちポーの一族は、永遠の時を生きる「バンパネラ」の一族であった。正体を見破った村人に取り囲まれた時、ポーの一族を率いる大老ポーは、存続の危機を救うためエドガーを無理矢理仲間に加えてしまう。こうしてエドガーは、妹メリーベルも一族に加え、ポーツネル男爵とその妻シーラを養父母として長い時を生きることとなる。
時は流れ、4人は新興の港町ブラックプールに姿を現す。男爵とシーラは、港町で診療所を開く医師、ジャン・クリフォードを仲間にしようと目論む。そこでエドガーは、町一番の名家、トワイライト家の跡取りアランと宿命的な出会いを果たすのだった・・・。(公式サイトより引用)

 

【主なキャスト 2018年宝塚版/2021年公演版
エドガー・ポーツネル
明日海りお/明日海りお
●アラン・トワイライト
柚香光/千葉雄大
●シーラ・ポーツネル男爵婦人
仙名彩世/夢咲ねね
●フランク・ポーツネル男爵
瀬戸かずや/小西遼生
●ジャン・クリフォード
鳳月杏/中村橋之助
●メリーベル
華優希/綺咲愛里
大老ポー
一樹千尋/福井晶一(オルコット大佐との兼役)
●老ハンナ
高翔みず希/涼風真世(ブラヴァツキーとの兼役)

 

原作はエドガー、メリーベル、アランを中心としたいくつかの短編で構成されています。舞台版はその中の「メリーベルと銀のばら」「ポーの一族」「グレンスミスの日記」というエピソードにオリジナルキャラを絡めたストーリーになっています。
ちなみに舞台版『ポーの一族』を初めて上演したのは宝塚歌劇団なので、キャストの並びが宝塚のスターシステムの影響を色濃く受けたものになっております。当時のトップ娘役さんの持ち味を生かしてシーラがメインヒロイン枠に据えられ、男爵夫妻の愛とバンパネラ一族の絆を強調しつついい感じにまとめられた脚本になっていたと思います!2021年版もほぼそのままの脚本で上演されました。
本当はチケットも手元にあったし生で観に行く気満々だったけど未だにコロナが猛威を振るっているのでライブ配信で我慢しました……。というわけで今更ながら、映像で観た2021年版の舞台『ポーの一族』の感想を宝塚版と少し比較しながら自分なりに綴りたいと思います。ちょっと自分の好みに合わないところもあったのでその点も備忘録として記しますが、あくまでも個人の一意見としてお楽しみいただけたら幸いです。

 


良かったところ!

エドガーの佇まいの完成度
主演の明日海りおさんは元宝塚トップスターで、在団中に演じたこのエドガー役が大当たりしました。再びポーの一族上演という流れになったのは、外部進出を始めたばかりの明日海さんに更に勢いをつけるため、「明日海りおと言えばエドガー」的な箔付けのためなんでしょうね。「花總まりと言えばエリザベート」みたいな。でもかなりハマリ役でご本人もやりがいを感じていらっしゃるようだし、ファンもあのビジュアルと演技に魅了されたものだからwin-winです!!!今回も宝塚版とほぼ変わらない完成度で、「永遠の時を生きるエドガーが再び私たちの目の前に現れた!」感がものすごかった!ジョン・オービンになった気分でした。
明日海さんは苦悩の演技が上手い方だなぁと思います。ただ個人的には芝居に熱が入ると滑舌が悪くなるように感じるのが玉に瑕でしょうか。でもそれをカバーして余りある存在感があるので良し!です。「エドガーを演じている明日海りお」ではなく自然と「エドガーがそこにいる」って思わせる演技ですよね。舞台を観ていて現実に戻っちゃう瞬間がほとんど無く、違和感なく観客に魅せる力があると思いました。これがまさに「夢を見せる」ということなのでしょうか。役に入り込むパワーと観客に伝えるパワーのバランスがとれた方ですね。

 

涼風真世さんの演技
涼風真世さんも元トップスターの方です。ていうかこの公演、宝塚OGの出演率が高いです。(笑)でもさすがトップだった方だけあって、迫力が段違いすぎて痺れました。プロローグで老ハンナとして舞台に現れて歌った瞬間の興奮といったら凄まじいものがありましたよ!生で聴きたかったあああああ!!!
一人二役の演じ分けも面白かったです。主なキャストの中では大老ポー役の福井晶一さんも一人二役で、お二人とも同一人物なのか分からないくらい自然に別人を演じていて、舞台人ってすごい!と思いました。私も素人の趣味ですが演劇をやっていたことがあって、舞台に立って台詞を発する緊張感とやりがいと興奮を思い出しました。涼風さんの迫力には憧れしかないです!
あと、老ハンナ役の時の涼風さんのアイメイクが非常に魅力的でした。キラキラ、ツヤツヤとしてて照明に反射してめっちゃ綺麗でした!どこのアイシャドウを使ってるんですか!?どういう塗り方をしてるんですか!?って配信映像に向かって質問したくなるくらいでした!

 

千葉雄大さんの目
この作品でミュージカル初挑戦、アラン役に挑んだ千葉さん。映画『帝一の國』に出演されてた方だな~くらいの認識しかなかったのですが、配信のアップになるアングルで、すごく目が可愛くてキラキラしてる方だと思いました。やはりエドガー役の明日海さんとは経験の差があるのがバリバリ分かってしまうのは否めないのですが、それがむしろバンパネラと人間の対比になり老成したエドガーと初々しいアランという図が描かれていて、これはこれで良かったです。

 

●メリーベルのソロが追加
宝塚版ではほとんど歌うシーンの無かったメリーベルですが、今回は離れ離れになってしまったエドガーを想うナンバーが追加されてました!寂しさのあまりエドガーについて行きバンパネラとなるメリーベル像に説得力が増しましたね。

 

●男性の迫力
宝塚はキャストが全員女性なのですが、外部の舞台は男女混合です。男性ならではの低音の迫力や宝塚の男役とはまた違うビジュアルがあったことが二つの舞台の最も違う点でしたね。この舞台は宝塚版と同じミュージカルナンバーを使用していますが、全体を通して宝塚版と比べて曲の音程が低く感じました。これはおそらく男性がいるからでしょうね。
また、宝塚だと男役の方がちょっと無理して低い声を出そうとして台詞が聞き取りづらくなってしまうことがたまにあるのですが(主観)、男性であれば無理することなく男性の演技ができるので、配信音声を聞いていて男性キャストの台詞がスルッと聞き取れたことにちょっと感動しました。
全体的に男性が加わることによって舞台が新鮮味を増し、歌声も厚みが増している印象を受けました。

 

●主な女性キャストのビジュアルの美しさ
今回シーラ夫人役の夢咲ねねさん、メリーベル役の綺咲愛里さん、お二人とも宝塚の元トップ娘役です。夢咲さんは正面から見たお顔が非常に可愛らしく、ドレスを着こなした姿がお綺麗でした。男爵との愛に燃える若く純粋なシーラとバンパネラになり妖艶なオーラを振りまくシーラの二面性を上手く表現されていたと思います。
そして綺咲さんは横顔が美しい方でしたね。舞台上に他の女性キャストがいる中でも(他の方が美しくないというわけではなく)特に鼻筋がスラッとしていてスッキリとした美しさがお顔にある方だと思いました。

 

 

うーん……と思ったところ

●主なキャストが歌唱力不足
ごめんなさい!千葉雄大さん、夢咲ねねさん、綺咲愛里さん……。もう少し頑張ってほしかった!
千葉さんはミュージカル初挑戦だからという言い訳はできても、アランという大役を演じるのだからもう少し歌えるのかとばかり……。歌っている間の佇まいがフラフラしているように見えて素人感丸出しなのもちょっときつかったです。今回は残念でしたが、またミュージカルに挑戦されるときは成長した姿を拝見したいものです。
夢咲さん、綺咲さんは擁護のしようがないというか……。これ稽古場の時点で空気が凍ったんじゃないの?と素人の私でも感じたシーラのソロ(「永遠の愛」)、このレベルじゃぶっちゃけ歌追加した意味ないじゃんと思ったメリーベルのソロ……。お二人のビジュアルはとても良かったのですが……。うーん。一曲歌いきることだけに精一杯になりすぎて役の感情を表現しきれない歌唱しか披露できないのであれば、もっと出来る他の方に演じていただきたかったというのが本音です。ただ、夢咲さんに関しては好みの演技だったのでまあいいかな……綺咲さんも頑張ってたよな……みたいなモヤモヤした感情が残ってますね……。
クリフォード(中村橋之助さん)&ジェイン(能條愛未さん)の「お互い結婚を意識したのはいつ?ソング」も聞いててしらーっとしちゃったので、なんかもう私はこの舞台視聴するのに向いてないのかなとすら思ってしまいました。私の好みの範囲、狭すぎ……?

 

●セント・ウィンザーの生徒たちのビジュアル
いやまあこれはしょうがないんですけど……。他の役も兼ねているアンサンブルの方たちだろうから別に構わないんですけど……。学生というにはかなりきつい再現度だったのでちょっと笑ってしまいました。たくさん歌って踊ってくださっているのに全然集中出来ず。これは本当に申し訳ないです。

 

●千葉アランの違和感
本当に本当にごめんなさい……。明日海エドガーと並ぶと、千葉アランには「綺麗な衣装と鬘はセットしたけど剃り残しの髭が見えてしまっているようななんとも言えないむさ苦しい違和感」があり……。(「剃り残しの髭」は比喩表現です。実際の千葉アランに髭は生えていません)不安定な少年らしい自然な声と演技は良かったのですが、なぜかアラン役としては舞台の世界観から浮いているように感じてしまうんです。
「むさ苦しい」と表現しましたが、これは明日海さんが女性で千葉さんが男性だからという話ではなく、役として洗練されているかどうかの問題だと思います。舞台人としての経験の差でしょうね。

 

●明日海エドガーと千葉アランの嚙み合わなさ
これを感じたのは私だけでしょうか。エドガーとアランが仲良くなっていく過程に何故か説得力を感じられなかったというか。気づいたらロゼッティの焼き絵で二人キャッキャしてましたよね。いつそこまで距離詰めた?って思っちゃいました。私が上記のような色んなことに気を取られて二人の演技に集中出来なかったのでしょうか。千葉アランに期待していた分、それほどでもなかったと感じてしまって集中力が途切れてしまったのかもしれません。申し訳ないです。

 

 

以上です。1月の配信は16日と23日でしたが、若干引っかかったところが多かったので配信は16日の分しか観ておりません。(23日の分もお金を払う勇気が無かった……。)DVDに収録されるのは16日の映像で、2月も複数の日程で配信が予定されているそうです。どうしようかな……!

 

(2021/3/16【追記】

DVD収録映像は愛知御園座の大千秋楽に変更になりましたね!大千秋楽の模様は全く観られていないのですが、どう進化したのか楽しみです。購買意欲が俄然上がりました。DVD予約しました!)

youtu.be


ともあれ宝塚版も今回の公演も、それぞれ違う良いところがあり、また違う課題のあるミュージカルですね。好みに合わないところもあれば、最高!と思えるところもあり、どっちにしろ思った以上にのめり込んでこの舞台を視聴していた自分がいることに気付きました。やはり原作の『ポーの一族』が好きなので、この世界を舞台化してくれてありがとう!という気持ちが一番大きいです。キャスト・スタッフの皆さん、ありがとうございました!

 

おしまい