今日の輪・適当ブログ

気まぐれ更新。個人の趣味ブログです。ゲームや観劇の感想を書いてみたり。「ピクミン」が一生の推し!ピクミンブルームにドハマり中!

宝塚歌劇配信視聴・宙組『夢千鳥』

こんばんは、のわです。

 

 

本日、宙組『夢千鳥』の配信を観ました~!

kageki.hankyu.co.jp

宙組の和希そらさん主演のバウホール(大劇場ではない、宝塚歌劇団の小規模劇場)公演です!大正浪漫溢れる雰囲気と男の色気溢れるポスターが話題に♡

この緊急事態宣言を受けて公演は4日間しか行われず残りの日程は全て中止、しかし特別企画として今回の配信が実現しましたね~!主演の和希さんはトップスターではないのでこの舞台が従来どおり配信されるのかどうか不安でしたが、こういう時だからこそ劇団が柔軟な決定を下してくれて良かったと思います。

 

本作の登場人物は女たらしな映画監督の白澤優二郎と女優の赤羽礼奈、優二郎がメガホンをとる映画に登場するこれまた女との噂が絶えない画家の竹久夢二と妻の他万喜、夢二と関係を持った女性の彦乃お葉など。優二郎が生きる昭和、夢二が生きる大正の時代が目まぐるしく入れ替わる演出になっています。夢二の人生を追ううちに優二郎はそれに飲み込まれ、色んな女への愛に惑う夢二の姿の先に優二郎が見つけた「愛」の形とは……?というようなストーリーです。

宝塚の舞台だと割と王道な感じがしますよね。魅力的な女たちを追い続けて愛というものが良く分からなくなる孤高の男……的な。現実でこれをやられたらクソオブクソ知るかボケ勝手に悩んでろとしか言いようがないですが、やはり見目麗しい役者と舞台装置と演出が揃えば美しくエモーショナルに見えるものなのです。虚構の世界バンザ~イ。

本作の魅力はやはり「白澤優二郎と竹久夢二」を和希そらさん、「赤羽礼奈と他万喜」を天彩峰里さんがそれぞれ一人二役で演じることにより、優二郎が自分と夢二を重ねる、自分の恋愛模様と夢二の恋愛模様を重ねるという演出が分かりやすくなるところと、優二郎と夢二の境界線が曖昧になって終盤のもだえる夢二の苦しみがそのまま優二郎の葛藤に繋がるところですね。多分夢二は他人を理解しようとしないくせに自分を理解してくれと甘える駄々っ子なんですよ。真の意味で人を愛する方法を知らないから女性とすれ違う。そりゃそうだ。でも最後、籠が開いて閉じ込められていた鳥が羽音を立てて飛び去る音が聞こえる演出は、優二郎、夢二、そして夢二に振り回された女性たちが葛藤から解放されたようで、清らかで良いシーンでした。

最終的には優二郎がちゃんと礼奈を愛すると心に決め、青い鳥を見つけるのではなく卵から育てると誓って礼奈を抱きしめます。「温めてるのさ」と呟く優二郎にキュンとしました。これからは誠実に、お幸せに!

 

女たらしの物語なだけあって魅力的なヒロインが複数登場しますが、個人的な注目株はやはり夢二の妻の他万喜かな、と思います。他万喜は普段から夢二に冷たくされたり、暴力を振るわれていました。ただし他万喜は夢二の絵のモデルとしてこの上ない魅力を持っており、そして彼女がその気になれば周囲の男を落とすことなんて訳もないことだったためそれを察知している夢二は他万喜を折檻したりしていました。そんな夢二に対して他万喜は「もっと嫉妬した顔を私に見せて」という感情を抱いていました。ここの他万喜の迫力ある声色、照明の演出で鳥肌が立ちました。配信だと役者の表情がしっかり見えてやっぱりいいですね。生観劇だとなかなか良い席のチケットとは縁がないものですから。あと、夢二が思わず刃物を振り下ろしてしまった時、他万喜がとっさに持ち上げた座布団から赤い羽がバラバラと出てくるのが綺麗でした。黒い背景に映えてました。

夢二はその後若い女学生の彦乃と真剣交際を始めてしまいますが、他万喜は「あなたは私の愛から逃げられない」と断言しています。もうどんな形だろうと夢二に関心を向けること、向けられること自体が他万喜のアイデンティティになってしまっているようで、「もっと自分を愛してあげて」と婦人会の会長さんに言ってもらわなければ他万喜はどうなっていたか……。歪んだ関係の男女を主演二人が上手に演じていらっしゃって、ゾクゾクしました。

 

そしてこの公演の驚き&嬉しいポイントは、フィナーレ(物語が終了した後のショー部分)がかなり豪華だったことです!大劇場公演ではない小規模な公演は、役者の人数も少ないですしフィナーレもそれに応じて小規模なものだと思っていたのですが、かなり内容濃いめの華やかなフィナーレでしたね!

ちょっとうろ覚えですが……中堅男役のソロナンバー、主演男役と複数の娘役が絡むダンス(歌あり)、主演娘役と複数の男役が絡むダンス(歌あり)、主演コンビのデュエットダンス、ラインダンス、男役群舞、主演コンビのデュエットダンス(2回目)……

えっ、めちゃ豪華では!?これトップコンビの大劇場公演!?(違います)

なんかめちゃくちゃ感動してしまいました。主演お二人は輝いていて、お衣装も綺麗で、みんな生き生きとしていて……このフィナーレが見られただけで配信料金3,500円払ってもお釣りが返ってきてるようなものです。良いもの見た~!!こういう感動を求めて私は宝塚を見ているんだ……ありがとう……と手を合わせずにはいられませんでした。

 

 

「大正浪漫的な作品なのかな~?ちょっと興味ある!見てみよ~!」程度の気持ちであまり宙組のことを知らずに視聴した本公演でしたが、こんなに心動かされるとは思わず、嬉しい誤算でした。また、栗田優香さんという演出家の先生の宝塚バウホールデビュー作だったようで、新しい才能が芽を出す瞬間に立ち会えたのも感慨深いです。良い役者と良い演出家が揃ってます!宝塚の未来は明るい!これからも応援します~!!

 

おしまい